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2013年02月14日

四国へんろ【200】 《最終回》 終わり良ければすべて良し

霊山寺をあとにして、JR板東駅へとてくてく歩く。これから向かうは第14番札所・常楽寺である。その目的は、以前にも書いた覚えがあるが、常楽寺のご本尊様のお姿をいただきに行くためである。

納経の際、そのお寺のご本尊様のお姿をいただけることは、おへんろさんなら誰もが知っていることだろう。私もそのお姿はいつもありがたく受け取り、大事に保存してきたつもりだった。
しかし、いつ頃のことだったろうか、ある日お姿の整理をしていると14番のお姿だけがないことに気づいた。あれれ?なんで?どうしてないんだ?
いくら探しても見つからない。どうしようか。仕方がない。最後の最後にもう一度常楽寺に寄ってお姿だけいただきにいこう。、、、ということになったわけである。

そう言えば、先ほどから少し曇り出し、怪しい空模様となっていた。そしてポツリポツリとやってきた。急がねば。板東駅はすぐそこだ。

ほどなくしてJR板東駅に到着。ほとんど人気のない駅舎のなかをぐるりと見渡す。なんとも風情のあるロマンチックな駅である。
しばらくして徳島方面行きの列車がやってきた。それに乗り込み佐古駅で下車。徳島線に乗り換える。そして府中(こう)駅で下車。

この駅は、府中と書いて(こう)と読むらしい。地元民でもないと絶対読めない。でも大阪にもあるよなぁ。十三(じゅうそう)とか放出(はなてん)とか。

府中駅を出て地図を取り出す。常楽寺までは約3キロぐらいか。最後の歩きだ。楽しんで歩こう。そこから逆打ちする形で、まずは16番観音寺へ向かおう。

てくてく歩いていると、すぐ近くに神社があった。  あっ!ここは!

そうだ。ここは私を道案内してくれたあの不思議なおじいさんといっしょに休憩したところだ。横倒しの大木もそのままである。お世話になったおじいさんの姿が目の前に見えるようだ。懐かしいなぁ。

おじいさんと一緒に歩いた道を逆打ちしながら16番観音寺、15番国分寺へと歩を進めていく。この頃にポツポツ雨が少し強くなってきた。そして間もなく14番常楽寺へ到着。取りあえずポンチョを脱ぎ、納経所の入り口横のベンチにリュックを置いて腰を下ろした。

さてどうやってお姿をもらおうか。お姿は納経後に納経帳といっしょに渡されるものである。でもお姿だけくださいとも言いにくいしなぁ。もう一回納経しようか。でも300円かかるしなぁ。常楽寺だけ朱印がダブるのもなんだしなぁ。

納経帳を開きながらそんなしょうもないことであれこれ悩んでいると、傍にいた歩きへんろの男性(たぶん50〜60代)に声をかけられた。

「よく降るねぇ。」
「え?あ、そうですねぇ。」

雨足はいつの間にかさらに強くなり、土砂降りになっていた。その後男性としばらく言葉を交わした。そして男性が私のポンチョを見て一言。

「それ、そのまま着てるの?」
「え?どうゆうことですか?」
「そのままじゃ着たり脱いだりが面倒くさくない?」
「あ、まぁ、そうですねぇ。面倒くさいっちゃ面倒くさいですけど。」

ポンチョは前にも後ろにもボタンやチャックはなく、頭からすっぽりかぶるようにできている。背中のリュックごと覆うことができるので、便利は便利だ。しかし、必ず頭からかぶらなければならず、かぶったときに背中のリュックにひっかかってうまく下へおろせなかったりすることもあって何かと面倒くさい。

「僕はこうしてるんですよ。」

男性がそういうので見てみると、男性のポンチョは身体の前の部分を縦に切って開き、開いた部分にマジックテープを張り付けて、身体の前で開いたり閉じたりできるようになっていた。それでレインコートを着たり脱いだりするのと同じようにできるのだと。

「これだといちいち菅笠も脱がなくていいしね。」
「あぁ、それいいですね」
「やってみたら。オススメですよ。」
「そうですね。ありがとうございます。参考にさせてもらいます。」

男性はしばらく雨宿りしていたが、少し雨足が弱まってきたところで

「じゃお元気で。お互い頑張りましょう。」

そう言ってそぼ降る雨の中に出て行った。そのうしろ姿を見送る。

お互い頑張りましょう、、、、、か。でももう頑張る必要はないんだけど。そうやってボンヤリしているうちにハッと我に返った。そうそう、俺は何をしているんだ。早くお姿をもらわないと。

再び納経所のなかを覗き込む。そのときひとりのおへんろさんが納経を受けていた。

それを見てふと思った。そうだ。納経は受けたけど、お姿をもらい忘れたので取りに帰ってきましたってことにしようか。ベタな話ではあるが、じっとしてても始まらないし。ヨシ、もうそれでいこう。

そして私はリュックを背負い、ポンチョをかぶり、菅笠をかぶって雨の中に出た。しばらくしてから、いかにも雨の中を慌てて戻ってきた感じで納経所に入り、中の女性に声をかけた。

「(ハァ、ハァ)あ、あのぅ、すみません。さっき納経を受けたんですけど、お姿をもらい忘れたみたいで、、、」

私がそう言うと女性は、

「まぁ、そうなんですか。すみません。」

女性のほうも自分が渡し忘れたのかとやや慌てた様子で「はい、どうぞ。」と言って私に一枚のお姿を差し出してくれた。それをありがたく受け取る。

納経所から出る際、背中越しに「すみません。わざわざありがとうございます。」という女性の声が聞こえた。

(そんな・・・わざわざなんて・・・もったいないお言葉で申し訳ない。)

私は振り返り、女性のほうに向かって

「いえ、こちらこそ、すみませんでした。ありがとうございました。」

そう言って頭を下げ、扉を閉めてそそくさと雨の中を歩き出た。

左手にお姿を濡れないように持って歩き、とあるどこかの軒下に入って、大事にそのお姿を頭陀袋の中にしまい込んだ。

あぁ、やったぁ。これですべての目的は完遂だぁ。ホッと胸をなでおろす。

再びポンチョを着てそぼ降る雨の中を歩き出す。府中駅に戻ってきたときには、膝から下はけっこうグショ濡れだった。

さてこのあとは徳島駅から高速バスに乗って大阪へ帰るだけだ。お四国ともお別れである。何とも名残惜しい。ただバスの出発時刻までまだ時間はけっこうある、もうちょっと歩けるだけ歩きたいな。もうちょっとだけ、、、。

ということで、府中駅から直接徳島駅まで行かずに2つ隣の蔵本駅で降りた。そして駅前のうどん屋さんで遅い昼食を摂る。

うどん屋さんを出ると、ありがたいことに雨はほとんど止んでくれていた。なんともラッキー、ラッキーである。
さて、ここから徳島駅までそれほど遠くない。これこそ最後のお四国歩きだ。思う存分に楽しもう。

てくてく、てくてく、てくてく、てくてく、、、。

終わり良ければすべて良し。ニコニコ笑顔で徳島駅へとてくてく歩くこうへいであった。


                                           完


(追伸)
私のお四国歩きへんろ紀行はこれにて終了でございます。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。厚く厚く御礼申し上げます。
posted by こうへい at 01:04| Comment(6) | TrackBack(0) | 歩きへんろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おっ!お礼参りのこと書かなあかんから慌てましたな?
わたしは88番さんでおへんろを終わって帰ってきました。
みなさんやっぱり1番さんまで歩いて輪をつなげるのかな?

府中と書いて「こう」。
四国へ発つ前にネットで調べてて地名の読みのいわれを知ったことを思い出しました。ご存知ですよね?
なるほどなー…って思いましたよ。

ポンチョの改造。いいこと聞きました。あれ脱ぎ着がめんどくさいんですよね。なるほど前開きか・・・。
2巡め行くことあったら試してみます。

連載お疲れ様でした。このあとドトーのお礼参り記に突入ですよね?
またちょいちょいチャチャ入れにきます。
Posted by はりQ at 2013年02月14日 10:43
◆はりQ様
88番で終わりはったっちゅうことは、1番さんスタートするときに誓いのノートに名前書かはらへんかったんでしょうかね。

府中(こう)の由来は知りませんでした。で、調べてみたんですけど、、、、、、ふーーん、、、、、ていう感じでしたナ。(笑)

お礼参り記、あんまりプレッシャーかけんといておくれやす。ま、これもボチボチ進めさせてもらいまっさ。

Posted by こうへい at 2013年02月14日 21:18
初めまして〜  大阪の歩くおばちゃん、なかじ〜です。

一週間ほど前にこのブログに出会い、連日四国遍路を楽しませて頂きました。
私も1年半かけて 区切り打ちで、昨年末に結願しました。
私は御接待の車に乗せて頂いたり、体調によってはバスを使ったりのへなちょこ遍路ではありましたが・・・・

遍路転がしを泣きながら(怒りながら・・かも)登ったり下ったり。
良いお天気の日や、良い出会いのあった日は ニコニコ笑いながら歩いたり。
胸の奥の誰にも言えない苦しい思いも 太平洋の波音に癒されました。

そんな沢山の思い出をなぞりながら、一緒にお遍路させて頂きました。
はりQさんたちとの漫才のようなやりとりも 面白くて〜(笑)

また 何年かかっても良いからお遍路に行きた〜い!!!
私も御四国病に掛かったようです。

お礼参りの報告、楽しみに待っています。


Posted by なかじ〜 at 2013年02月16日 14:54
◆なかじ〜様
はじめまして。コメントありがとうございます。
大阪の方ですか。ご近所ですなぁ。はりQさんも大阪でっせ。それもベチャベチャのネ。(^o^)

何か楽しんでお読みいただけたようで嬉しく思います。ありがとうございます。
そして無事結願されたということで誠におめでとうございます。昨年末ということですから、最後は冬へんろということになりますね。88番はけっこう山の上なので寒くて大変だったでしょう。で、高野山へはもうお礼詣りには行かれたんですかねぇ?

ただ今お礼詣り記をせっせと作成中です。ときにペースダウンすることもありましょうが、よろしくお付き合いくださいませ。
Posted by こうへい at 2013年02月16日 23:32
はい、長尾寺と大窪寺は凍っていましたよ〜((´д`)) ブルブル…サムー
大窪寺の手水場は厚い氷で、ツルハシで割って下さった穴から滴るみぞれ状の水で手を清めました。女体山越えをする予定でしたが、長尾寺の納経所で強く止められましたので(雪が積もっているから)コミュニティバスを利用しました。バスの料金が変更になっていて、休日は500円でした。山門前の土産物屋さんで御接待してもらった、熱いくず湯の美味しさが忘れられません。
高野山へお礼参りに行きましたが、雪の中で手を合わせたとき、熱いものがこみ上げてきました。本当に心からお礼を述べることが出来ました。
今度はスタートする前にもお参りしようと思って居ます。
Posted by なかじ〜 at 2013年02月18日 18:21
◆なかじ〜様

凍ってましたか。高野山もたいがい凍ってましたよ。寒かったです。

私も冬へんろ、というか年越しへんろを2回行いました。足摺岬をまわったときと雲辺寺山に登ったときです。
そのことは本文に書いてあるのでご存知かもしれません。、、、、って、もしかして全部読んでいただけました?
私はゆっくり時間が取れたときにでも一度自分のおへんろ紀行を最初から最後まで読み返してみようと思ってるんですが、、、、コレ、けっこう量多いですよね。(汗)

なかじ〜さんは女ひとりで歩かれてたんですかね。だとしたら雪の女体山を回避されたのは正解だったと思います。
私はあそこを雪のないときに登りましたが、雪山だったら絶対行こうなんて思わないです。それだけ険しいところがあるんですよね。

高野山へのお礼参りも、お四国が終わった流れでそのまま向かわれたみたいですね。私もいずれお四国の2回目をやろうと思ってますが、そのときは逆打ちで、、と考えてます。

そうそう、2013年が明けてまだ間もないのに来年の話ですが、来年度2014年は四国霊場開創1200年目を迎えるそうです。
ご存知でした?どうします?行っちゃいますか(笑)。
Posted by こうへい at 2013年02月18日 22:54
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