うどん屋などが営業している場合、たいていは暖簾がかかっているものである。果たしてこのうどん屋はどうだったか。実はよく覚えていない。とにかく祈るような思いで、私は扉に手をかけた。
扉は静かに開いた。そして中に入ると「いらっしゃ〜い」というご主人らしき男性の声が聞こえた。ヨカッタ、営業していてくれているようである。
テーブル席に座り、取りあえずきつねうどんと他におにぎりも注文しただろうか、とにかく注文を入れた。屋内だけにさすがに暖かい。その上に熱いおうどんを食せばもっと暖かくなるだろう。ホッとしながらうどんが運ばれてくるのを待った。
その間、店内をぐるりと見渡す。客数は私以外に4〜5名ほど。壁には確か演歌歌手・鳥羽一郎の写真などが飾られていたと記憶している。それも鳥羽一郎が、かつてこのお店を訪れて、「美味かったよ」と推奨しているようなそんな記念写真のようだった。
このうどん屋の屋号は「海賊うどん」というらしい。しばらくして注文したきつねうどんが運ばれてきたが、特にこれといって美味くもマズくもない、フツーのうどんだった。
それだけに、なんでまた海賊??と思いつつズルズルとうどんを口に運び、おつゆもすべて飲み干した。おかげでじゅうぶんに身体を温めることができた。
しばらくして席を立ち、お代を払った。
さてこのあともしばらくは海沿いの道を延々と歩かなければならない。海からの寒風は絶え間なく吹きつけてくるだろう。いまこのときの温もりもそれほど長くは続かないはず。ほかに上着やセーターを持ってきてるわけではないし。あ〜あ、まぁでも仕方がないか。、、、、、あ!、そうだ!
そのとき、私の頭にピーーンと稲妻が走った。
そうだ! ポンチョがある! ポンチョがあるじゃないか!
ポンチョは雨天時のためにいつも持ってきている。あれが防寒着の代わりにならないだろうか、、、。
私はお店の扉の前で背負ったリュックを再び下ろし、ゴソゴソとリュックの底からポンチョを取り出した。そしてまた再びリュックを背負い、ポンチョを頭からかぶる。
店内は暖かい。そして温まったこの身体に風通しの悪い厚手のビニール製ポンチョを着ると、一瞬だが蒸しっとした感覚をおぼえた。ヨシッ、これなら・・・。
そして扉を開けて外に出た。外は確かに寒かったが、それほど寒すぎるということもない。まぁ温まったところから出てきたばかりかもしれなかったが、私にはヨッシャー!という気概が高まってきた。
ヨッシャ、行くぜぇい! 私は寒風吹きすさぶ海岸線を意気揚々と歩き出した。
その後、ひとり黙々と歩き、やがて菊間の町に入ったのが13時頃。ここで休憩がてら、この日の宿の予約を入れた。取りあえず電話をしたのはJR大西駅前の「ホテルニュースガノヤ」。
二つ返事で宿泊OK。食事の用意はできないということだったが、近くにスーパーもあってその心配はないようだ。
それからも寒さに耐えながらひとり黙々と海沿いの道を歩き続け、まだ16時前ではあったが、無事今日の宿であるホテルニュースガノヤに到着。
チェックイン後、冷え切った身体を温かい風呂でじゅうぶんに温め、しばらく部屋でのんびり過ごす。そして夕刻にはホテルの自転車を借りて近くのスーパーへ買出しに出かけ、部屋で気ままな夕食とした。
今日一日を振り返る。とにかく寒い。 寒い!寒い!寒い! その一言に尽きる一日だった。
だが、その中で知ったポンチョの効用。これは単なる雨具としてだけではなく、冬場の防寒着としても大いに役に立つ。私にとって大きな思わぬ収穫であった。
2009年09月13日
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歩きへんろにとって天候は大きく影響しますね。
下ノ加江から三原村を越えている時
時期外れの台風の影響でドシャ降りの風雨の中を歩きました。
襟元から流れてくる雨と、蒸れた汗で下着もズボンもびしょ濡れになり
歩きながらオシッコできるな、と思いました。
歩く全自動食器洗い機みたいでした。
朝早く出発して途中の時間をゆっくり取って
夜もできるだけ遅くまで歩いて、食事と風呂の時間に制約がないのが
ホテル利用のメリットです。
野宿と宿坊は昔のお遍路のまねごとです。
下ノ加江からは三原村へ抜けるルートを行かれたのですね。私は真念遍路道を通っていきました。そして私のときもドシャ降りの雨でした。ハハハ、ずぶ濡れ仲間ですね。(笑)
あーなんか、無性におへんろしたくなってきました。
・・・ということで、ただいま四国(徳島県阿南市)に来ております。
出張でなんですけどね、、、(泣)。
明日、朝一番から現地での仕事に備えて、今日の間に移動してきたんです。
徳島市内で55号線を歩くおへんろさんを3人見かけましたよ。思わずニッコリしてしまいました。
こそ耐えられるのでしょうか? 寒ければ竹筒に酒を入れて飲みつつ歩く、なんてのは体が
少しは温まっても飲酒歩行。危ないです。山頭火もやらなかったでしょう。この店「海賊うどん」、
道路から海のほうへ更にせり出した位置にあるし、瀬戸内海は昔、海賊(よい響きとしては
「水軍」)の水域でしたからね。私はここで鯖寿司を食べました。日頃スーパーのものしか食べ
ことがなかったので、このときの鯖寿司のうまさにビックリ。このサバ、ただものではない。
清水の○○か!?
まねき猫さん
>歩きながらオシッコできるな、と思いました。
私も前立腺肥大気味で、そんなこともあるかと・・・
>このときの鯖寿司のうまさにビックリ。このサバ、ただものではない。
あ!そうそう!そうです! 鳥羽一郎が「美味いよ!」って推奨してたのは、確か鯖寿司だったと思います。
そんなに美味かったんですか。あー残念。食ってみたかったなぁ。しかし高知の太平洋側はカツオで、愛媛の瀬戸内海側はサバなんですかねぇ・・。