太山寺までもう少し。あと3kmもないだろう。しかし納経時間は迫っている。ここまで来て、ほんの少し迷ったがために納経に遅れては、せっかくの道後温泉をスルーした意味がなくなるじゃないか。
酒屋のご主人の一言に私は振り返り、尋ねた。
「間違えやすいって、、、、すみません、それは、どこですか、、、?」
するとご主人は店の中に戻り、一枚の地図を持って出てきてくれた。私もそそくさとご主人のそばに近寄っていった。そしてご主人が地図を指差し、
「今、ここにおるんや。で、間違えやすいのがココや。」
ご主人が地図上をなぞって指差してくれた地点を食い入るように見つめる。そして自分の持っている同行二人の地図と照らし合わせる。
「ほな、この地図でゆうたら、このへんですか、、、?」
「まぁ、そうやろなぁ。」
ご主人の地図と自分の地図を交互に何度も何度も見返す。そしてご主人が、、、
「ココにナ、道案内の石碑が立ってるんやけど、その向きが微妙なんや。」
「微妙、、??、、微妙って、どう微妙なんですか?」
「ちょっと向きがズレとるんや。それでお寺と違うほうへ行く人が多いんや。」
「、、、へぇ、、、、。」
「ココから右に行かなあかんねんけど、ちょっと左向きに立ってるように見えるんや。」
「、、、はぁ、、、そうですか。」
酒屋は店売り以外に軽トラでの配達なども多いものである。おそらくご主人は、配達の途中などにこの近所で迷っているおへんろさんや間違えていることを知らずに違う方向へ歩いているおへんろさんなどもよく見かけるのかもしれないなと思った。
「ま、そうゆうことや。気ぃつけてナ。」
優しく微笑むご主人。ナントありがたいことか。私はご主人に深く頭を下げ、心からお礼の言葉を述べた。
さ、もう時間がない。急ごう。再び早足で歩き出した私は、途中に小走りをはさみながら、太山寺へ急いだ。
そして、、、少しして、、、あった! あったのである。そこには、ご主人が言うように微妙な方向に示す人差し指が刻まれた石碑が確かに立っていたのである。
(あ〜、コレやなぁ、、なるほどなぁ、、、)
私はウ〜ン、ウン、ウンとうなずきながら、改めてご主人の顔を思い浮かべ、感謝の思いを捧げた。ヨシッ、こうなったらなんとしても納経時間に間に合わなければ、、、。私は再び足を速めて歩き出した。
しかしさすがに足元がキツクなってきた。が、やがて太山寺へ続く最後の一本道に無事出ることができた。
(ふぅ〜、ヨッシャ、あとはこの道をまっすぐ行くだけやな。)
そしてここまでずっと手に丸めて握りしめていた地図を頭陀袋の中にしまい込んだ。
(ヨッシャー、行くぜぇー!!)
そうとう足にはきていたが、最後の力を振り絞って一本道を歩き出す。そして一ノ門のT字路を過ぎ、前方に大きな山門が見えてきた。この時刻はよく覚えている。16時52分だった。
ヨッシャー、太山寺だ! やったぜ、間に合ったぞー。とにかくまずは納経だ。納経を済まそう。納経所よ、近くにあってくれよー。
私は思わず息せき切って走り出した。 タッタッタッタッ、、、タッタッタッタッ、、、、。
そして山門の少し手前まで走ってきて、私は目を見開き、ヘナヘナと立ち止まった。
(な、、、なんじゃ、、、こりゃ、、、)
山門の奥に太山寺の境内はなく、ナントその先ず〜っと一本道がまだまだ続いているではないか。
、、、太山寺は、、??、、太山寺はどこなんだ、、??
2009年08月20日
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結構あります。13番大日寺から出てすぐの畑道にも一つ。長い
年月の間に道の曲がりが変えられたのか、地震で向きが変わった
のか。(これは、ま、あり得ないかな?)指差し式しるべは歴史
的遺産なので向きを修正できないのでしょうか? 山門の中に
まだ先があるとは、この山門は仁王門の代用だったでしょうか?
神社の場合は鳥居が神社からずいぶん離れた位置から建てられて
いることはよくありますがね。
13番大日寺を出てすぐの畑道ですか。大日寺を出て一番最初にあった石碑ははっきりしてたような、、、う〜ん。
あのとき私は、前を行く「不思議なおじいさん」を見て、ついていこうかどうしようか迷ったんでした。
アレとはまた違うんですかね。その先のことだとしたら、ちょっと覚えてないなぁ。何しろあの時の私の道しるべは、あのおじいさんそのものでしからねぇ、、、。
ここの山門ですが、ホントまいりましたよ。てっきり太山寺へ着いたと思いましたからね。
でもよく考えたら道路のど真ん中にいきなりデーンとあること事態おかしいですよね。まぁ私もそうとう疲れてましたから、思わず勘違いしたんだろうと思います。
困るほどではないのですが旧へんろ道にこだわり、迷って
しまいました。
なるほど旧へんろ道ですか。
そう言えば、あの「不思議なおじいさん」ですが、もしかしたらその旧へんろ道を進んでくれてたかもしれません。
「こっちが近道なんじゃ。」とか言ってね、細い路地裏を通っていったりとか・・・。そんなところが何ヵ所かあったような気がします。