☆☆☆義援金寄付ならびに節電のお願い☆☆☆

2009年07月28日

四国へんろ【133】 岩屋寺への打戻り その2

腹ごしらえも済み、グイグイと元気よく八丁坂の坂道を登り始める。少しして先ほどのカップルが山道を下りてくるのが見えた。そしてすれ違う。2人とも額に汗をかいていたようで、その顔には明らかにお疲れの表情が見てとれた。

しかしそりゃそうだろう。どう考えてもこの山道は、普段着の手ぶらでデートしながら歩くような道じゃない。途中からけっこうな急勾配が続いているのだ。

まぁ2人は手をつないでいたわけでもなく、明らかに仲良さげには見えなかった。おそらくこわれかけの関係だったのかもしれない。どうやって別れ話を切り出そうかと頭の中でグルグル考えながら、ただ何の当てもなく意味もなく、この山道を登っていったのかもしれないなと思った。

それはさておき、しばらくして峠の分かれ道にたどり着き、ここから尾根づたいに岩屋寺方面へ向かう。そしてまたしばらくして空模様が怪しくなってきて、ポツポツと雨も降り出した。取り敢えずは、雨を気にせずそのまま歩き続けていたが、次第に雨足が強くなり、面倒くさいなと思いつつ、リュックからポンチョを取り出して身にまとった。

尾根づたいに進んでいた山道がやや下り始めたとき、小さな門の扉が目に入った。そのまわりには数体の石仏も並んでいて、その門の奥には、険しい岩場の割れ目があり、その狭い割れ目の間をロープを伝って登っていけるようになっていた。

何だろう、ここは、、、???

あとでわかったのであるが、ここは「逼割禅定(せりわりぜんじょう)」といって、一種の修行の場として有名なところらしかった。ここを目当てに岩屋寺を訪れる人も多いとのこと。この狭い割れ目の間を登った先には、果たしてどんな景色が広がっているのだろうか。

またしばらくして雨もやみ、やがて45番岩屋寺へ到着。時刻は15時30分頃。本堂を参拝し、ふと右手に目をやると、そこには長〜い木製のハシゴがかけられていた。ほぼ垂直に近く、高さもかなりある。おそらく20m近くはあっただろうか。ハシゴの上には、岩場にくぼんだところに棚状の足場があって、参拝客の数名がその棚の上に登っていた。

なんだか面白そうだなと思い、リュックを置いて私もハシゴを上ってみた。上がってみると、その足場の広さは畳で6畳分ぐらいもあったかどうか、けっこう狭い印象だった。

かなりの高さだったので、さぞ眺めもよかったはずなのだが、ここからの景色の印象がほとんどない。強烈に印象に残っているのは、一人の高校生ぐらいの女の子の姿だった。その子は、ハシゴを上ってきたのはいいものの、今度は怖くて下りられないと半ベソをかいていたのだった。

彼女は「うえ〜ん、コワイよぉ〜」と叫びながら、ひざまづいてうしろ向きにハシゴのほうへ擦り寄っていく。私はそれを見て、たまらず声をかけた。

「ちょっとちょっとお嬢ちゃん、そらアカンて。それじゃハシゴに足かけられへんて。危ないがな。」
「エ〜ン、どうしたらいいのぉ〜。」
「ちょっと、どいてみ。こないしたらエエから。」

そういって私はハシゴに背を向けて、両側の柵の先端をしっかり両手に持ち、足場ギリギリのところに立って、

「ホラ、ここにこないして立って、このまま左ひざ曲げて、右足を下ろしたら・・・。」

そういって、ハシゴを2、3段下りる。そして、

「ナ!こんな感じで下りるねん。」とにこやかに言うのだが、彼女は、
「エェ、、! そんなの、コワ〜い。」

そして私は再び足場に戻り、

「大丈夫やて!。やってみ。手ぇ持っといたるから。」
「ヤダ〜。コワイよぅ。」
「ほな、どうすんの? このままずっとここにおるか?」
「ヤダ〜!、、ウェ〜ン、」

しゃがみ込んで完全に泣きべそをかいている彼女。ハシゴの下では彼女の家族らしい数人が心配そうに見上げていた。誰か上ってきてあげてよと思ったのだが、家族の人らは怖くて誰も上ってこれないようだった。

しかしホントにもぅ、、、。そんなに怖いなら上ってくるなよと思いつつ、なんとかしてあげなければということで、ちょうど上にいた別の男性といっしょになって彼女の両腕をしっかりつかみ、ハシゴのところでうしろ向きに立たせた。

「ウェ〜ン、怖いよぉ〜。」
「大丈夫や。しっかり持ってるから、絶対落ちへんて。」
「ウェ〜ン。」
「ギャーギャー泣きな、もう! しっかりせな、ホンマに落ちるデ!。ホラ、しっかり左足踏ん張って、右足下ろしてみ!」

彼女はボロボロ涙を流しながら、こわごわと右足をハシゴの最初の段に下ろした。

「ヨッシャ、OKや! その足、しっかり踏ん張るんやデ。次は左足や!」

そうやって彼女はなんとか2段目、3段目へと足を下ろしていく。

「ヨッシャ、そこまでいったら大丈夫や。ほなしっかりハシゴつかみや。手ぇ離すデ、エエか!?」

そして彼女はこのあとなんとか自分で下りられるとわかったのだろうか、泣きながら私の顔を見上げて、「ありがとうございまじだ〜!」と一言。

こわごわとゆっくりハシゴを下りていく彼女を祈るような思いで見つめる。そして無事下りきったのを見届けてホッと一息。それを見ていたまわりの人から拍手も起こった。(パチパチパチパチ、、、。)

この珍騒動にチョイ疲れもしたが、最後にお礼を言った彼女のクシャクシャな泣き顔がホントに可愛らしく、ホントにおかしかった。まぁ、とにもかくにも、ヨカッタ、ヨカッタ。



posted by こうへい at 01:11| Comment(8) | TrackBack(0) | 歩きへんろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回の描写、めちゃ面白いです! 昇るときには下が見えず、それほど
怖くは感じなかったのでしょう。 後ろ向きに降りるときは足を下ろす
ところがしばし空(くう)になるので不安なのでしょう。いや、それ以
前のモンダイかな? 昇るときは、目の前に足場が確かに見えるので、
昇るにつれて見えなくなっても、まだ足場はあるはずと安心できるのか?
要は子ネコのような状態の女の子ですね。子ネコはびっくりするほど高
い木に昇り、降りる段になって怖くなる。特にネコは後ろ向きには降りら
れないようです。 それでニャオニャオといつまでも泣いて訴える。(^▽^) (なんどか助けましたよ。)
そういう私は、ここのくぼみ(がん)へ昇らなかったのです。雨がかなり降
っていて荷物を預けるところもなく荷物を背負って昇るのは危険かな?と判
断したのです。でもねえ、過去にここで落下した例はないのかなあ。
友人どうしでふざけると危険でしょう。近くに墓はなかったですか?
ということで、私は昇る前から怖いなと思ったのです。 これが真実。
ま、石橋を叩いて、叩き壊し、渡らない男と言われてもいいか!
Posted by よし男 at 2009年07月28日 02:30
ナントkと煙は高いところがスキ。
えぇ、ナントカなワタシもダイスキです。高いビルが建つと登りとなります。
が、しかしそれは昇り降りの安全が保障されていればこそ。

カワイイ女子高生同様助けてもらうには、今からウソナキの練習に励まねばならんのでしょうか。それとも救助には厳しい年齢制限があるのでしょうか?
よし男さん同様、ワタシも石橋を叩き割って渡れぬという超慎重派。ウソナキしても誰も助けてくれない場合を考えてやはりここはスルーするべきでしょうか?
Posted by はりQ at 2009年07月28日 12:50
◆よし男様
>過去にここで落下した例はないのかなあ。

さてどうなんでしょうねぇ。おそらくないんじゃないですかね。だって、そんなことあったら絶対お寺側が上らせないでしょうに、、、。
きっと岩屋寺のご本尊様やお大師様が、誰も落っこちないように守ってくださってるんじゃないですかね。
まぁこのあとの出来事なんですが、あのハシゴをすごい下り方で下りた人がいたんですよ。またそれは本文で書きますね。
Posted by こうへい at 2009年07月28日 22:25
◆はりQ様
>カワイイ女子高生同様助けてもらうには、今からウソナキの練習に励まねばならんのでしょうか。それとも救助には厳しい年齢制限があるのでしょうか?

ハイハイ、いちおうですね、救助には「20歳以下に”見える”女子限定!」ということになっております。つまり20歳以下に見えれば、アラサーであろうとアラフォーであろうと関係ないんでございます。(笑)

、、、、なんてね〜、、、これまた失礼いたしました。

まぁスルーするかしないかは、実際にあのハシゴを下から見上げてからのことですね。早くはりQさんが岩屋寺に行かれたときのおへんろ記事を読んでみたいものでございます。

、、、、ンで、来月のお盆休みですが、お四国に行かれます? オススメしておいて今さらなんですが、、、、、行かないほうがいいかなぁ、、、なんて、、、。
(あ〜あ、言っちまったゼ、、、)
Posted by こうへい at 2009年07月28日 22:35
この5月に岩屋寺に到着したとき、アレ?へんだな?こんな方向から寺に入るのだろうか? 間違っているのではないか?と感じました。なにせ山門へは山の上から入るのですからね。後で聞いた話では、このように、ここでは山の上から入るのが正式なんだとか。確かに国道の近くからコンクリの階段を、のぼり旗の列に沿って延々と岩屋寺に登って行っても山門はないですね。山門は上にありますね。なにかと特殊な札所です。
Posted by よし男 at 2010年06月08日 00:19
◆よし男様
岩屋寺の山門のことですが、、、スンマセン、ほとんど覚えておりません。
そうでしたか。山の上からねぇ。う〜ん、そうだったような、どうだったか、、、う〜ん、う〜ん、、、、あぁやっぱり思い出せなーい!

ところで岩屋寺へ行かれたのなら、あのはしごは、、、どうだったんでしょう。

事故があったので登れなくなってたんでしょうか。
Posted by こうへい at 2010年06月09日 00:10
>岩屋寺の山門のことですが、、、スンマセン、ほとんど覚えておりません。
当然です。山から降りて来て先ず山門があったのです。金剛力士が左右に並ぶタイプの山門は大師堂の左に(岩屋寺の奥)にあるのです。県道から階段で登って来て最初に入る山門は狭いタイプであることが調べて分かりました。じつはタクシーの運転手から教えていただきました。民宿へ帰る時間を考慮するとまたもやタクシーを使うしかありませんでした。バスは1日二回しかないとか。

>ところで岩屋寺へ行かれたのなら、あのはしごは、、、どうだったんでしょう。
いやぁ、聞かれるのが怖くて、そっと触れないでおこうかと思っていたのですがが・・・
山から降りて来て岩屋寺境内に立つと、大師堂と梯子のある崖が前回見たときよりせまってそびえて見えました。正山門、大師堂の後ろに急な坂があることを意識していたからでしょうか?またも夕刻6時ごろとなって2名ほどの参拝者は立ち去るところで、誰も見ていないところで、はしごを登るのは危険かなと、今回も登るのは控えました。下の、かすかに灯明が燈る暗い穴禅定とかも、入るのはやめました。

岩屋寺に向かって出発するあたりでケータイのディスプレーが縦に5色くらいの帯が表示され全く機能しなくなり駐車場近くの民家で電話を借りたほどです。
野宿続きで、予備電池の備えがなく後悔しました。
次回は、この岩屋寺から歩いて久万まで行くことになります。
今回も岩屋寺を最終日に打ったので、無理がでました。私にとっては岩屋寺は鬼門ですね。
逼割禅定(せりわりぜんじょう)」は気付きませんでした。「いたずら半分に登らないで下さい」と書いた注意書きは覚えていますが、暗くなっていたためか、ロープは見えなかったですねえ。ここに至るまでに飲み水が切れ、溜り水を見つけてホッとして余裕がなかったのでしょう。

Posted by よし男 at 2010年06月09日 22:19
◆よし男様
なるほど。ということは「はしごを登っちゃダメ!」みたいなお知らせはなかったということですね。
確かに誰も見てない所でひとりで登るのは危険だと思います。正解ですよ。

次行かれるときは、日の高い明るいときにどうぞです。

Posted by こうへい at 2010年06月09日 23:17
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。