「えーーっ! T君! ウッソーー!」
ドアの陰からひょっこり顔を出したT君を見て驚愕!。
逆にT君はニッコリ微笑んで一言、、、「あぁ、やっぱり、、、。」
「やっぱり?、、、やっぱりって、、、何?」
「いやそうじゃないかなぁと思って、、、。」
どうやらT君は隣の部屋でドアをガチャガチャやってる音が聞こえて、それを直感的に私が来たと思ったらしいのだ。
(そう言えば、昨夜、旭屋でT君とおへんろ談義しているときに、翌日はクアライフ宇和島あたりに泊まるような話をしていた記憶はかすかにある。しかしいつ予約を入れたかは覚えていない。)
「けどT君、いつ来たん?」
「16時前ですかね。」
「へ!、、速〜っ! けど俺は君に追い抜かれた覚えはないねんけどなぁ。」
「もしかしてへんろ小屋で休憩してませんでした?」
「どこの?」
「ほら、あのぅ、橋を渡った向うの、、、。」
「橋を渡った、、??、、、あぁ、ハイハイ、あの新しいキレイなとこ、、、。」
「あぁやっぱり、、、。その頭のハチマキが見えたんで、そうじゃないかなぁと思ったんですよ。」
T君が私の頭をチラッと指差して言うように、私は普段、汗止めを兼ねて額にハチマキをして歩いているのだ。そしてT君が私を見かけたへんろ小屋というのは、旭屋を出て山を越え、川沿いに歩いて橋を渡った、あの真新しいキレイな、私がお接待用のみかんを3つも食してしまった、あのへんろ小屋のことだった。
「ほな、もうあんなとこで追いつかれとったわけかぁ・・・。」
「声かけに行こうかなぁとは思ったんですけどね、でもちょっと離れてましたし、、。」
「宿の朝メシは?」
「食ってきましたよ。」
それが本当ならT君は、少なくとも私が峠付近の清水大師を過ぎて山道を下り始めた頃には、まだ旭屋にいたはずなのである。まぁあのへんろ小屋でちょっと長居したとはいっても、、、いやしかしそんなアホな、、、という感じで、私は首をフラフラと横に振っていた。
「あ、そのドア、開けにくいでしょぅ? ちょっとコツがいるみたいなんですよ。」
そういってT君は私の部屋の鍵を取って、
「これね、、、こう、して、、、、こうやって、、、このまま押すと、、、。」
すると、あれだけ言うことを聞いてくれなかった私の部屋のドアが、まったく音もなく静かに静か〜に押し開いてくれた。
そしてボー然とした私の口から、思わず出た言葉は、、、
「、、スゲェ、、T君、、、マジシャンみたいやな、、、。」
うまく表現できないのだが、あの開かなかったドアがあまりに難なく、それも鮮やかに開いてくれたので、そのとき私はT君が一流のマジシャンのように見えたのだった。そんなたいそうなと思うかもしれないが、そう見えたんだから仕方がない。仕方がないのである。
ただこの部屋のドアであるが、開けるのに確かにコツがいって、、、というか、ちょっと鍵の構造が変わっているようだった。
普通、ホテルの部屋のドアを開けるには、鍵を差し込んでガチャリとひねって鍵を抜き、ドアハンドルをひねる。あるいは、鍵を差し込んでガチャリとひねった状態で鍵を抜かずにそのまま押し開く。
ほかにもカードキー式のものとかいろいろあるが、たいがいはその2通りのどちらかで、そして片手だけで開くはずである。
しかしこのホテルの場合は、こうなのである。
まず右手で鍵を差し込んだらとにかくガチャリとひねる。そのひねった状態のまま、左手でドアハンドルもひねる。そしてどちらもひねった状態のまま、前に押す。、、、と、開くのだ。お解りいただけるだろうか。
つまりこのホテルのドアは、両手を使わなければ開かないという、なんとも摩訶不思議なドアなのであった。
2009年06月03日
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また、休まずにT君は踏破されたのでしょう。私にはほとんどできないことです。しかし早く到着しなけらばならない夕刻になって、必死に歩いたことが何回かあります。昼間のマイペース主義は、どこかに吹っ飛んで、敵の軍隊に追われる逃避行のようでした。そんなときは、痛みも疲れも無視して、ほう、オレにも余力があったんだ、って就寝時に自信を感じました。
なかなか開かないで部屋のドアの鍵穴を意固地になってガチャガャ長時間やっていて、部屋が間違っていたら、ヤバイですね! 窃盗未遂って汚名をかぶることになりかねません。 例えば前日宿泊した民宿の部屋の名前と混同してとか。
>また、休まずにT君は踏破されたのでしょう。
ま、そういうことなんですよ。
その日の夕食をT君といっしょに食べたので、その様子とかそのことも含めて次の本文で書こうかなぁと思ってます。
>なかなか開かないで部屋のドアの鍵穴を意固地になってガチャガャ長時間やっていて、部屋が間違っていたら、ヤバイですね! 窃盗未遂って汚名をかぶることになりかねません。 例えば前日宿泊した民宿の部屋の名前と混同してとか。
間違ってたら、、、、ヤバイですね。でも大丈夫、そこまではまだボケておりませんよ。
部屋も「○○の間」みたいな名前じゃなくて、単なる○○号室といった番号だったと思います。
しかし開けにくいドアだったなぁ・・・。