さぁ行こう。第6回区切り打ちのスタートである。
へんろ札に従って、県道39号線を右に折れる。30〜40分ぐらい歩いたところで、塚地峠越えの登り口にある休憩所に着いた。水車や池もあり、とてもきれいな休憩所だ。ここでひと休み。
目の前に長〜い塚地坂トンネルが見える。ここを通ればかなりショートカットできるが、何も急ぐ必要はない。ゆっくりのんびりと峠を越えていこう。
てくてくと山道を登っていく。しかしこの道もそれほどキツクなく、思ったよりラクに峠を越えることができた。そして宇佐地区の町に入ると、目の前に真っ赤な長い橋が見えてきた。宇佐大橋だった。
宇佐大橋を渡り、20分ほど行くと、「右 青龍寺」の案内があった。36番青龍寺はもうすぐそこのようだ。ここを右に折れると、その道沿いに四国88ヵ所の石仏が並んでいた。それに一体一体手を合わせながら歩いていく。そして青龍寺の仁王門前に到着。時刻は11時頃。
一礼して仁王門をくぐると、本堂に向かってまっすぐに長い石段が伸びていた。
この石段かぁ・・・。そう思いながら、私の脳裏にひとりの人物像が浮かんできた。そう、大相撲の横綱・朝青龍である。
朝青龍のしこ名は、この青龍寺からとったという話は有名である。青龍寺のふもとに明徳義塾高校がある。遠くモンゴルの地から留学してきた朝青龍少年は、明徳義塾高校で学びながら、来る日も来る日もこの石段を駆け上がって足腰を鍛えたという。
私も学生時代に大学の裏山の中腹にある神社の石段でよくトレーニングをしたものだった。ヨシッ、自分もちょっと駆け上がってみようか。そう思って軽く一段づつ駆け上ってみた。が、当然のごとく途中で息が切れた。そして最後はなんとか手すりにしがみつきながら石段を登りきった。もうバテバテである。
ひと休みを入れて、本堂・大師堂を参拝し、再び石段を下まで降りる。そして納経を終え、青龍寺を出たのが12時前。今日はこのあと参拝の予定はなく、須崎市内で宿泊の予定である。
その須崎市内までのルートであるが、36番奥の院・不動堂のほうへ出て、県道47号線で行くか、宇佐大橋まで打ち戻って浦の内湾沿いに行くかの2つがあった。距離的には打ち戻る分もあって浦の内湾沿いのほうが幾分長くなるが、こちらのほうが昔ながらのへんろ道に当たるらしいとのことで、私は取りあえず宇佐大橋まで打ち戻るルートで行くことにした。
浦の内湾沿いをてくてく歩く。が、今回も誰ひとり歩きへんろさんと出会わない孤独なへんろ行である。青龍寺におへんろさんがいたことはいたのだが、みな車でまわっているのだろうか。結局、須崎市内までこれといった出来事もなく、18時頃、今日の宿である司旅館に着いた。
入浴後、小さな食堂に入る。どうやら宿泊客は私ひとりのようだった。そしてテーブル席につき、ふと見上げると部屋の壁に一枚の色紙が飾られているのが目に入った。俳優の萩原健一さん(ショーケン)のサイン色紙だった。
女将さんに話を聞くと、萩原さんはこれまで3回歩きへんろに来ていて、3回ともココに泊まったそうである。へぇ〜っと感心する。が、まぁよっぽど女将さんのことが気に入ったんだろうなと思った。
というのもここの女将さん、、おばあちゃんではあるのだが、相手がどんな有名人であろうとなかろうと、特別扱いせずに自然な形で応対するタイプの方で、萩原さんもその点気楽でいられたのだろう。そして食後、明朝早くに出立する旨、女将さんに話しかけた。
「女将さん、明日の朝食は要りませんから。」
「えっ?なんで?」
「朝早うに出ますんで・・・」
「何時に出るの?」
「5時には出ます。」
「5時!!」
「明日ちょっと長いこと歩きますんで、早う出たいんですワ。」
「ほうか。ほな明日4時半に食べさしたる。」
「えっ!そんな・・・。無理せんでエエですよ。」
「いやぁ作っちゃる。まかしとき。」
「マ、、、マジっすか・・・。」
明けて翌朝4時半に食堂へ降りていくと、女将さんはホントに朝食を作って待っていてくれた。お礼を言ってありがたくいただく。
朝食後、身支度を整え、まだ外は薄暗い5時に宿を出た。女将さんも見送りに出てきてくれた。
「こんな早うに出る人は、アンタが初めてじゃ。」
「そうなんですか。なんかすみません。」
「気ぃつけて行きんさいよ。」
「ハイ、ありがとうございます。」
女将さんと手を振って別れた。しばらく歩いて振り向くと、まだ女将さんが手を振っているのが見えた。そして私ももう一度大きく手を振り返した。
女将さん、ありがとう。いつかまた必ず来ます。必ず来ますから。
心の中でそうつぶやいて、私は司旅館をあとにしたのだった。
今日は海辺で車中泊してます。
ノートでブログを夫婦で見ています。
犬が下で寝てて、イビキで眠れません。
ブログ応援させていただきます!
それでは失礼します。
はじめまして。いらっしゃいませ。応援ありがとうございます。
車中泊? もしかして今おへんろ中でしょうか。
しかし犬もイビキかくんですね。知りませんでした。
塚地峠越えの登り口にある休憩所には緋鯉も泳ぐ小さな池があって、地元のかたがずいぶん力を入れて整備されているところです。「多くのへんろ休憩所にはゴミ入れは置かない方針ですが、ここではゴミ入れは必要なものと考え設置しております。きれいにお使い願います。」 という趣旨の掲示がありました。しかし3つあるゴミバスケットには分類せず入れてあり、しかも(多分イノシシ、または猪突猛進するへんろにより)倒されており、見かねて40分ほどかけて休憩小屋と、ついでに男子トイレも清掃しました。峠道は重い荷物があると結構きつく、峠の頂上でぐったり座り込みました。
青龍寺入口にある売店で菓子パンを買おうとしたら、それ、お接待です、と言われてびっくり。多くのへんろが訪れるので、お接待の量も大変なものになるな、と恐縮していただきました。青龍寺からは打ち戻りが正しいようです。奥の院方向のルートは殺風景だそうです。
ゴミ入れ、ありましたっけ?スンマセン、全然覚えてません。(汗)
しかし見かねて清掃されたとは・・・。もう尊敬の眼差しでございます。
おへんろとしてのエチケット、大切にしたいものです。私もじゅうぶんに心がけたいと思います。
青龍寺入口の売店、これも全然覚えてません。(汗)
でもありがたいことですね。感謝、感謝です。