第5回区切り打ち最終日の朝。6時30分からの朝食を終え、早々に宿を出た。
今日もいい天気だ。気分も良い。人影もまばらな土佐市街地を抜けていく。正面の山の中腹にお寺らしき建物が見える。あれが35番清滝寺なのだろう。
てくてくと気分良く歩いていると、地元のおばあちゃんと目が合った。そして朝の挨拶を交わす。するとそのおばあちゃんに呼び止められ、「これ、持って行き。」といって缶コーヒーを渡された。お接待である。お礼を言ってありがたく受け取った。
高知自動車道の高架下を抜け、へんろ道はダラダラの上り坂になってきた。そして山道に入って、清滝寺に着いたのが、7時40分頃。
本堂と大師堂の間に大きな大きな薬師如来像が立っていた。大きな観音像はこれまでいろいろ見てきたけれど、薬師如来像としてこんな大きなものを見たのは初めてだった。そしていま健康で五体満足にあることを感謝し、今後もまた末永く健康でありますようにと手を合わせる。
納経を追え、8時過ぎ、清滝寺をあとにする。そして土佐市街地に戻り、土佐市役所前に着いたのが8時40分頃。
さてこれから36番青龍寺(しょうりゅうじ)に向かおうかどうしようか。ここから青龍寺までは約10km。行ってここまで帰ってくるのに20q。青龍寺の手前3qほどにある宇佐地域から高知駅までのバスも出ているようだが、便数は少なそうだ。はっきりしない。ヘタすると大阪に帰り着くときは、日が変わっているかもしれない。
帰りがあまり遅くなるのも考えものである。そしうーんと頭を悩ませていると、目の前に高知駅行きのバスがやってきた。そのとき私はとっさにそのバスに飛び乗ってしまった。悩んでいるときに目の前に来た高知駅行きのバス。それは、「もう今日は帰ったら、、、」という天の声が聞こえたような気がしたのだった。まだ朝の9時頃だったけれど。
9時30分過ぎ、ちょっとはりまや橋を見てみたくて、南はりまや橋のバス停で降りた。しかし、はりまや橋は特にどうという印象もなくて、ちょっとガッカリだった。
そしてブラブラと高知駅まで歩く。今回も前回同様、高知駅からJRで徳島駅に出て、そこからバスで帰阪の予定にしていた。高知からのバスを予約しなかったのは、帰れる時間がはっきりしなかったからである。
みどりの窓口で徳島行きの切符を買い、改札を通った。その瞬間である。ドエライことに気がついた。
金剛杖が、、、、ない!、、、
またどこかに置き忘れたか。血の気がスーッと引いていくのがわかった。
改札の駅員さんに「すいません。ちょっと忘れ物しまして、、、」といって、改札を出させてもらう。しかし改札を出てみたのはいいものの、どこに置いたか覚えがない。ヤバイ。どうしよう。
置いたとしたら、みどりの窓口しかない。大急ぎでみどりの窓口に駆け込んだ。そして先ほど切符を買った窓口の付近を見るが、やはりない。
えぇぇーーー!どうしよう!どこに置いたんだろう。
冷や汗がドーーッと溢れてきた。ヤバイ。ヤバイよ。お大師様。あなた様を・・・。あぁ、どうしよう、、、。
そして半ばあきらめ、放心状態になってフラフラと時刻表の置いてあるスペースに近づいたときだった。そのスペースの脇に立てかけられている金剛杖が目に入った。
あ、、、あ、、、あったーーーーー!!
そう言えば、ここで長らく時刻表とにらめっこをして、徳島駅までの連絡経路を検索していたのだ。
そうかぁ。このときここに立てかけてそのまま・・・。そうかぁ。そうだったのかぁ。
思えば2回目の置き忘れだった。あぁ、でもよかった。とにかく見つかってよかった。フーーーーッと大きなため息をつく。
こうして最後に思い切り冷や汗をかいたが、18時30分頃には無事帰宅。取りあえずは、めでたしめでたしの第5回区切り打ちであった。
身軽にしたり置き忘れしないためでしょうか、伸縮式の杖を利用している遍路さんも見かけますね。
>「さんずい」が有るか無いかの違いですね!
いやぁ、まさしくそうですねぇ。今まで気づきませんでした。
ちょとビックリです。
伸縮式の杖ってあるんですね。傘で言えば、折りたたみ傘みたいなものでしょうか。
なかには自作の杖を使ってるって人もいらっしゃるようですね。
まぁでもこれ以降、杖を置き忘れたことはありませんでした。
けど、ホントにこのときは冷や汗もんでした。
わかっちょりましたよ。たぶんそうやろなぁって・・・。
わざわざスミマセン。
私が最初に置き忘れたのは13番よりず〜っとあとのことだったんですが・・・。でもその時はホントにね、もう、、。(グッタリ)
(詳しくは【67】おしゃべりオバハン の記事をお読みください)
しかし金剛杖は歩きへんろには必須ですよ。特に私にはなくてはならないものでした。
ホントにどれだけ助けてもらえたか。結願し終えて短くなった金剛杖は、私にとって一生の宝物です。