☆☆☆義援金寄付ならびに節電のお願い☆☆☆

2008年12月06日

四国へんろ【63】 ナミダナミダの・・・

御蔵洞(みくろど)を出たところで、見覚えのある顔が眼に映った。またしてもなまはげおじさんだった。そしてなまはげおじさんに話しかける。

「あ、お疲れさんです。御蔵洞やったら、そこですワ。」
「おぅそうか。ちょっと寄ってくるワ。」

そういってなまはげおじさんは、御蔵洞の中に入っていった。

足指のマメがそうとう痛い。再び55号線に出たところで、いい感じの日陰になる部分があったので、私はたまらずそこに腰を下ろした。
しばらくしてなまはげおじさんもやってきて、私の右横にどっかと腰を下ろした。

「お疲れさんでした。そうや、今朝ネ、日の出を見たんですワ。もう感動しましたワ。」
「そうかぁ。ワシも見たデ。ホンマ綺麗かったなぁ。」
「昨日はどこで野宿してはったんですか?」
「昨日か。あぁ、夫婦岩の下や。」
「えぇ! 夫婦岩の下!」

思わず目をむいてしまった。というのも、実は昨日、どこでだったかは覚えていないが、つい最近、夫婦岩の下で一組の夫婦が自殺していたという話を小耳にはさんでいたからだった。

「なんやねん。そんなに目ぇむいて・・・」
「いや、ようあんなとこで寝れたなぁと思て・・・」
「そんなん、横になれるだけのスペースがあったらどこでも一緒やで。」
「いやそうゆう意味じゃなくて・・・」
「どうゆう意味やねん?」

言おうかどうしようかちょっと迷ったが、言葉を続けた。

「ちょっと聞いた話なんですけどね、最近夫婦岩の下で自殺した夫婦がおったらしいんですワ。」
「ゲッ。ホンマか。」
「ホンマについ最近のことらしいですよ。」

苦虫を噛み潰したような表情のなまはげおじさん。そのまま前を向き、じっと一点を見つめている。

「まぁ知らぬが仏でしたね。」

そう言うと、なまはげおじさんが、前を向いたままポツリと一言・・・。

「、、、、、、そうゆうたら、ワシ、昨日キショク悪いやつを見たんや。」

ん?と思い、

「キショク悪いやつ?どんなやつですか?」
「歩きへんろやねんけどナ、ワシ昨日、そいつとなんべんも会うたんや。」

ん? 一瞬、顔をそむける。(、、、何回も会った?、、、)

そのとき、ふとあの謎の逆打ちへんろさんのことが頭に浮かんだ。そして思わず口元がゆるむ。続けるなまはげおじさん。

「そいつナ、なんべんも前から歩いてきよんねん。」

(間違いない、あの人のことだ。)
ますます口元がゆるむ。首をかしげる。そして右手で顔半分を覆い、思わず吹き出しそうになるのを必死にこらえる。さらに続けるなまはげおじさん。

「確か3回ぐらいすれ違たんや。キショク悪いやろ?」

(わかりました。もうやめてください、、、)
同意を求めるように私のほうを向いている(はずの)なまはげおじさん。とてもじゃないが、その顔を見ることができない。おかし過ぎる。死にそうである。

顔を隠してなんとか笑いを押し殺したあと、チラッとなまはげおじさんのほうを向いて、

「で、その人、足、ありました?」
「そらあったわいな。」
「ホンマですかぁ〜?」
「ホンマやっちゅうねん!!」

語気強く肯定するなまはげおじさん。その目は真剣である。
再び顔をそむけ、必死に笑いをこらえる。そして右手で意味なさげに右頬をこすりながら、

「まぁ僕らおへんろしてる身やし、何が見えてもおかしないんちゃいます?」
「アホなこと言いなヤ。」
「けどあり得んことでしょ。おんなじ人がなんべんも前から歩いてくるやなんて、、。」
「・・・(なまはげおじさん、、無言)・・・」
「ほかにどんな説明がつきますの?」

そう言ってチラッとなまはげおじさんのほうを見ると、なまはげおじさんは前を向き、腕を組み、口を閉じて下唇だけを前に突き出し、眉間にしわを寄せて上目遣いに虚空の一点を見つめている。
迫力あるなまはげ顔で真剣に悩むその表情、、、、、。

もう限界である。ギブアップである。首をかしげ、思いっきり目を閉じて必死に笑い声は抑えるものの、肩が震えて止まらなくなった。

「何をそんなに笑とんねん!」
「、、クッ、、クッ、、クッ、、すんません。あんまり面白すぎて、、、」

なまはげおじさんには悪かったが、ひとしきり笑わせてもらったあと、それはこれこれこういうことでねと、謎の逆打ちへんろさんのことを説明してあげた。

「そやからね、ボクもその人と3回すれ違たんですワ。」
「そうゆうことかいな、ホンマにもう、、、」

再び肩を震わせて笑う私に、なまはげおじさんも苦笑い。
もう私にはナミダナミダの大爆笑のヒトコマだった。


posted by こうへい at 01:24| Comment(6) | TrackBack(0) | 歩きへんろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
夫婦岩と言えば海岸すぐそば。夏でも海風で寒いのと
違いますやろか?
多分崖下でテントか寝袋を使わはれましたしょう。
 (にわか関西弁で無理かな? ま、やめとこ。)
ここのトイレは電灯はおろか、明り窓もなく、しかも
カギがかからないときて、使うときに片手でドアを
しっかり引き寄せ、実行しなければならず、不安で
した。スニーカーをはいた人が足音もなく近づいて
きて強引に空けたら、ドアごと引き出される恐怖の
事態が想定されました。こんなとき「早メシ、早○○
も芸の内」という言葉を思い出しました。

なまはげおじさんの反応を充分楽しまれましたね!
楽しそうで、ヨカッタですねえ。(^∇^)
私はすれ違っても挨拶を返さないへんろなら
アヤシイやつ!と人相を覚えるでしょうから3回も
遇うと、へんろ荒らしと大いに警戒します。
Posted by よし男 at 2008年12月06日 12:20
◆よし男様
>多分崖下でテントか寝袋を使わはれましたしょう。
> (にわか関西弁で無理かな? ま、やめとこ。)
う〜ん、惜しい! ちょいとそれでは通じまへんなぁ(笑)

ということで、こうへいの関西弁講座、とまいりましょうか。
ここはですね、

多分崖下でテントか寝袋を

  使いはったんでしょう。(関西弁3級・標準レベル)
  使われたんでしょう。 (関西弁準3級・標準レベル)
  使たんとちゃいまっか。(関西弁2級・上級レベル)
  お使いになりはったんでっしゃろ。(関西弁1級・特級レベル)

・・・・・・などなどが正解でございます。(^/^)

しかし「へんろ荒らし」とは、どんな人種なんでしょうか。(興味津々)


Posted by こうへい at 2008年12月06日 15:21
関西弁はやはり無理か!

「へんろ荒らし」という言葉は正式にはありませんが、
へんろと言えば、何かと悩み事を抱えているのが普通。
八十八箇所を廻ってご利益が得られるのを待ちきれな
い人を引っ掛ける人間がへんろ路に徘徊しているそう
です。地元の人はへんろに理解があるのですが、へんろ
自体は四国以外からの人間がほとんどです。おなじく
へんろをしているからと言って本当の同類とは限りま
せん。わたしもその一人と遇いました。
Posted by よし男 at 2008年12月07日 00:11
◆よし男様
世の中には人の善意や弱みにつけ込んで悪事を働くやつらがゴマンといるものですね。

でもちょっとわからんのですけど、よし男さんのおっしゃる「へんろ荒らし」とは、おへんろさんを狙った犯罪者なのか、おへんろさんの格好をした犯罪者なのか、どっちなんでしょう?
それとその一人に会ったってことは、よし男さんご自身が被害に遭われたということなんでしょうか?
Posted by こうへい at 2008年12月07日 01:29
おへんろさんを狙っているようです。
へんろ姿のようでした。実際にこの男に札所で声を掛けられて
不審に思ったかたが数人いて、全体像が判明いたしました。
私はへんろをしているとはいえ、奇跡や運命の透視などは信じま
せんので効かなかったようです。万引き品をお接待の「お礼」と
して渡していました。それはなんと新品「ワイシャツ」です。
開封前のもので、へんろがそんなものを間違ってでも買うはずが
ないのです。警察も出動しました。賽銭泥もしていると聞きました。
詳しくは書けませんが新興宗教の外見を装い、悩めるへんろを
引き込もうとしていましたが、他にもいるらしいです。
Posted by よし男 at 2008年12月07日 21:41
◆よし男様
なるほどねぇ。そんなやつがいるんですか。困ったものです。
そう言えば、おへんろさんが苦労してご朱印を集めた掛け軸を盗んで、それをオークションで売りさばいたりするような話は聞いたことがあります。
これもひとつの「へんろ荒らし」と言えるかもしれませんね。

私も気をつけるようにします。ありがとうございました。
Posted by こうへい at 2008年12月07日 22:59
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