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2008年08月02日

四国へんろ【28】 不思議なおじいさん その2

よくとんでもない輩が善人を装い、「私が道案内してあげましょう」といって巧みに女性へんろさんに近づいて、手を握ろうとしたり、金品をゆすったり、という話は、聞いたことがある。

しかし、そのほとんどが、か弱い女性を狙った卑劣な行為であるが、そもそも私は男である。
また体型が、私よりひと回りも小さいこのおじいさんが、そんなことをするはずがないだろう、、、とは思えても、どうも得体のしれない雰囲気はぬぐえない。


結局私は石碑に従って、道を右に折れた。

少し行くと田畑が目の前に広がり、その周辺全体を見渡せるようになった。すると、左手に20mほど離れた道を平行して歩くおじいさんの姿が見えた。

そしておじいさんの一言。
「おーい、そっちは遠回りの道じゃよ〜」

前方を見ると、確かに私が歩いている道は、その先からさらに右へ大きく蛇行し迂回するようになっていた。
確かにおじいさんの言うことに間違いはなさそうだなと思い、私は田畑の間を通って、おじいさんの歩く道に合流することにした。

そのおじいさんは、私との距離を3mほど置きながら淡々と前を歩いていく。おじいさんから何を話しかけてくるわけでもなく、ただ淡々と、淡々と。

やがて鮎喰川にかかる一宮橋を渡り、おじいさんは少し進んだ先の交差点の赤信号に足を止めた。そして私はおじいさんに追いつき、思い切って話しかけてみた。

「お元気ですね。歩くのが早いですよ。」

 すると、おじいさんは、

「いやワシはこれが楽しくてね。こうやっておへんろさんと歩かせてもらえるのが、唯一の楽しみなんじゃ。」

そう言うと、おじいさんは青信号に変わった交差点をスタスタと渡り始めた。私もあわててそのあとに続いた。

相変わらず3mほど先を歩いているおじいさんを見ていると、道端にあるお地蔵さんの前を通り過ぎるたびに、片手で拝む格好をしながら軽く頭を下げている。

しばらくしておじいさんは私のほうを振り向き、こう言った。

「常楽寺は、もうすぐじゃ」

私は、歩きながら、そのおじいさんへの不信感が少しづつ溶けていくのを感じていた。



posted by こうへい at 00:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 歩きへんろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このおじいさんの場合は顕著ですが、へんろ道沿道の人が、歩きへんろを
見守ってくれていることは感じます。あらぬ方向へ歩いていると声を掛けて
注意くれたり、都会では「よけいなお世話」になりかねない場合でも、あり
がたいものです。このおじいさんにとっては、健康維持にもなる区切り打ち
をしていることになります。都会では車が多すぎ、人が多すぎ、排気ガスが
体に良くなく、他人の行動には無関心を装うのがよい、ないしは無難である
との雰囲気ができてしまっています。
「不思議なおじさん その4」は書かれるのかな?
Posted by よし男 at 2008年08月12日 10:53
よし男様

私の留守中に、いろいろとコメントありがとうございました。

このおじいさん、最後の最後まで不思議な方でしたよ。
でもホントにありがたかったです。

不思議なおじいさんシリーズ、もうちょい続くと思います。
Posted by こうへい at 2008年08月17日 19:18
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